「やりがい搾取」の果て
「18時30分に帰宅できたことはまったくありません。社内では長時間労働が蔓延していました。
先輩たちの『だれしもが経験すること、そうやって大きくなれる』『ほかの会社に行っても同じ』という言葉を信じていました。過去には(月に)400時間の労働をした先輩もいて、その先輩は鉄人と崇められていました。夢だった建築の仕事をしている、楽な仕事なんてないと自分に言い聞かせてきました」
月400時間労働ということは、ほぼ休みなく毎日13時間働く計算になりますか…
開業資金を作るため毎日20時間労働で「赤信号のたびに睡眠を繰り返した」とさらっと危険運転を告白しちゃったあの元経営者の会社みたいな感じですかね?
そういう特殊な事例を平時の基準にすると、大変なことになります。
成功体験は生存者バイアスがかかる
本当に稀有な鉄人だったのかもしれませんが、鉄人と崇められている先輩の400時間労働は、盛られていたり、実は会社で休んでいたとか裏があったりしないですかねぇ?
成功体験はそもそも「生存者バイアス」がかかっている上に、尾ヒレが付いたりしていわゆる「盛られた」話になってることも珍しくありません。
就活面接でエピソードを盛って「リーダー経験」アピールして入社した経験を持つ人は、その経験から先輩の話も聞き流す力があるかもしれません。
そういう嘘がつけない真面目なタイプの人は、耐性を付けるしかないですね。
「先輩の声」も体験談の一種ですから、「※個人の感想です」を頭の中で補完して聞いておくのが良いかと。
健康食品の体験談には規制も
「※個人の感想です」と付けることで「効果がありました!」と体験談を語らせる広告は、現在厳しく規制されて安易に使えなくなりました。
健康食品の体験談も大抵は盛っているか、中には全くの創作体験談もあったと思います。
仮に本当に成功した方の体験談があったとしても、それは1000人の中でたった1人だけのことかもしれないので、その割合まで表記しないといけません。
月400時間労働の「鉄人」もそういう特別な人だと思って、真似しないことです。
「※よい子はまねしないでね」を頭の中で補完して聞いておくことですね。