65歳以降は貯め方よりも「資産の取り崩し方」
お金は、貯め方よりも使い方の方が人によって違いが出るもの。
老後資金は、いつまで生きるかわからない中でどういうペースで切り崩すのがいいのか、難しいと思います。
かといって、生活費が年金で足りないからと貯金を切り崩していったらあっという間に貯金がゼロになってしまいますから、計画的な切り崩しが求められます。
「2000万円を貯めれば何とかなる」と思い込んではいけない
記事では「老後資金が2000万円あっても毎月10万円取り崩していくと約16.7年で底をつく」として、「運用しながらの取り崩し」をして資産寿命を伸ばすことを勧めています。
いや待って、「老後資金2000万円必要」と提言されたベースの数字は「毎月の赤字額は約5万円」であって、年60万円で30年間取り崩したなら1800万円。
この数字の根拠に運用は入っていません。運用込みであれば「もしも老後に暴落したらどうするんだ!」と反論が入りますからね。
「毎月10万円赤字」を考えている人ならば「老後資金4000万円必要」になるだけですね。
もちろん、運用した方が資産寿命は伸びます。ただ、人生が残り短くなった時に暴落したらどうなるか、も考えておくべきでしょう。
老い先短い人間は本当の意味での「長期投資」はできないのです。
それでもなんとしても投資を勧めたいFPが書いた、という印象の記事でした。
たくさん資産を持つと減らすのが怖くなる?
セミリタイア・FIRE(早期リタイア)した人は、資産が減ることを必要以上に恐れている人が多いという指摘もあります。
30代で若くしてFIREした人ならわかりますが、50代くらいなら少しずつ取り崩していいと思いますが、やはり先々の不安があるから減らしたくないのかな。
そのまま老後(65歳以上)になっても、そのまま続いて、気がつくと使わないまま死んでいく可能性もありますね。
配当金・分配金は気兼ねなく使えたりするなら十分生活費にプラスだとは思いますし、何かあった時の不安が少ないのもプラスです。
基礎的な生活費は年金だけで賄うのがベスト
そもそも「毎月(毎年)いくらを取り崩す」と最初から決められるものなのか、という疑問があります。
家電が壊れたり、家の補修が必要になったりといった突然の支出があるかもしれません。一番怖いのは怪我・病気です。
だから基礎的な生活費(毎月確実な支出)は年金収入の範囲で賄い、旅行や大きな買物、大病した時の医療費を貯金で賄うのがいいと、私は常々言っています。
老後の前半の元気なうちは旅行で使い、後半は医療費が増えていく人が多いでしょう。病気したら旅行に行けなくなるので問題はないし。
仮に運用なしの4%ルールで取り崩しても25年持つ計算で、男性は平均寿命を余裕で超えます。
まぁ最近は、一番怖いのがインフレになってきてますけどね。