まるで三菱UFJ銀行貸金庫窃盗を予見?
三菱UFJ銀行の40代の女性行員が貸金庫の中身を盗み、懲戒解雇された。エンタメに詳しいライターの村瀬まりもさんは「事件のニュースを見て、すぐに10年前公開の映画を連想した。その映画も40代の女性行員が巨額横領事件を起こすという内容で、犯人役の宮沢りえさんがその危うい心理をリアルに体現していた」という――。
いやいやいやいや、映画は予見しているのではなく過去の銀行横領事件をヒントにして描かれているだけでしょう。
その銀行横領事件とは、1973年に発覚した「滋賀銀行9億円横領事件」や1981年の「三和銀行オンライン詐欺事件」です。
どちらも「痴情の果てに」という枕詞がつく、女性行員が行った事件であり、だからこそ小説・映画の題材にしやすいかったわけで。
だからまぁ予見をしていたというよりも、「歴史は繰り返す」なのではないかと。「滋賀銀行9億円横領事件」も40代女性行員による長期にわたる犯行でした。
今回の事件が「痴情の果てに」かどうかわかりませんが、今後明かされる動機次第では小説化・映画化されるのではないかと。
職業倫理だけでは不正を防げない
貸金庫窃盗については、他の銀行を使っていた放送作家が5年前に被害を受けたと訴えていて、三菱UFJ銀行だけではないようです。
「職業倫理だけでは不正を防げない」というのは間違いないことで、不正を防ぐ仕組みがないとダメ。
貸金庫については古くからあるルールを特に変えずに運用していたから起きたのかもしれません。
野村證券からはお詫びのレター
一方、社員(当時)が顧客への強盗殺人未遂と住宅放火の罪に問われている野村証券からは、お詫びのレターが郵送されてきました。
そこには「お客様本位の業務運営方針のもと」取り組んでいくと書いてありますが、大手証券の「お客様」とは、大口顧客だけなんだろうなーと思って読みました。
野村証券は、日本国債の先物取引における価格不正操作で処分を受けたばかりですし、会社全体として職業倫理に疑問を持たざるを得ません。
それが日本において「貯蓄から投資へ」が進まなかった一因でしょう。不正に対する処分はもっと重くした方がいいのではないかな。