日本に根強く残る「体育会系」
「体育会系」と聞いて先ずイメージするのは「絶対的な上下関係」です。
軍隊教育に由来するからでしょうかね。軍隊内でも問題になったように、パワハラ・いじめへと発展しがちで、近年悪いイメージも強いです。
でも、軍隊内では上からの命令は絶対でなければならず、必要なこと。命令を下す側にとっては、「体育会系」の人材は使いやすい存在と言えます。
「連帯責任」も良し悪し
もう一つのイメージは組体操で見られるような「連帯責任」で、これも軍隊教育でよく使われていますね。
チーム全体が弛んで集中力を欠いていながら、お互いにそれを指摘できないような状況を改善するには「連帯責任」はとても有効な手段だと思います。
チームスポーツでは誰かのミスをただの個人のミスと考えず、他の人にも問題があったと考えるきっかけにもなるでしょう。
でも、組体操のような場面では「足を引っ張っている人が明確」になりがちですから、「連帯責任」にするとかえって逆効果で、いじめに発展しかねません。
その良し悪しを考えず、「今までこのやり方で成功してきた」とそのまま続けていると、どこかに歪みが生まれるものです。
体育会系で耐えてきた人が成功者に見えるのは、耐えきれずに脱落した人を除いた生存者バイアスがかかっているからですし。
組体操では怪我が出た事例があまり広まっていませんが、実際にはたくさんあります。
組体操事故が1件あるたびに、全国ニュースで「また組体操で事故です」なんて報道したら、あっという間に組体操は縮小していたことでしょうね。
有事には生きる人材
企業の採用現場では、昔ほど体育会系がチヤホヤされることはなくなったと思いますが、それでもまだ根強い人気があるようです。
理不尽な要求にも耐えられる「忍耐力」は有事には大きな力となります。元々軍隊が求める能力であったわけですし。
新型コロナウイルスで外出自粛が求められる現在も、「規律」と「忍耐力」が求められていますから、「体育会系」の人の力が発揮されているのかもしれません。
対極にあるインドアタイプの文化系の人は、そもそも外に出なくても過ごせる人が多いわけで、日本の感染の拡がりが他国と較べてゆっくりな理由かと。
誰かが感染をするとその集団が完全待機の「連帯責任」にもなるので、「体育会系」の人はきっちり規律通り自粛しているのかな。
今回の事態においては正しい行動ですし、このまま続けてもらいたいと思います。