「高齢者のひとり暮らし=かわいそう」なのか?
高齢者のひとり暮らしというと、「かわいそう」というイメージを持つ人が少なくありません。しかし、ひとり暮らしをしている高齢者は、果たして「誰かと一緒に暮らすこと」を望んでいるのでしょうか。本連載は、シニア生活文化研究所・代表理事の小谷みどり氏の著書『ひとり終活』より一部を抜粋し、「高齢者のひとり暮らし」の実態や、生前にやっておくべき準備・手続きについて解説します。
高齢者のひとり暮らしは、孤独死のリスクがあるのは間違いなく、その中には誰かがいれば助かったという事故や発作などもあるでしょう。
正確に言うと中高年のひとり暮らしも孤独死のリスクがありますけど。
そういうリスクを除けば、「高齢者のひとり暮らし=かわいそう」かどうかは、その人の性格や暮らしぶりによるとしか言えません。
ひとり暮らしだから孤独とは限りませんし、孤独だから不幸だとも限りませんから。
今後も一人暮らしは増えていく
日本では多数派の人間が少数派に対して「かわいそう」という感想を持ちがちです。
今の高齢者は婚姻率が高く、生涯独身は今の50歳よりも少なかった時代の人たちなので、「高齢者のひとり暮らし=生涯独身=かわいそう」に繋がっているのかもしれません。
現実には、配偶者と死別・離別して、子どもとは別に住んでいる高齢者がほとんどだと思いますけど。
単身世帯は増え続け、70歳以上の単身世帯は男女合わせて470万世帯(2015年集計)です。
2025年には600万世帯を超えると予想されていますから、2020年時点は500万世帯を軽く超えているはず。
この500万人以上が「かわいそう」なのだとしたら、日本人はどれだけかわいそうな人で溢れているのかと…
自分はかわいそうじゃないというマウンティング?
記事にあるように、子や孫に囲まれて過ごす高齢者が幸せなのだというイメージを持った人が、ひとり暮らしの高齢者はかわいそうに見えるのでしょう。
さらに言うと、「自分はそのかわいそうな側の人間ではない」という安心感・優越感からのマウンティングなのかな、と。
内閣府の調査で「今のままひとり暮らしでよい」と答えた高齢者が、4人に3人以上という数字なのですから、価値観が違うだけなんですけどね。
まぁ「かわいそう」と思われても別に不利益はないし、イギリスが孤独問題担当国務大臣を置いたように、独身者向けの政策を打ち出しやすくなるので、そう思われていた方がいいかな?