全国に広がる「偽史」町おこし
長野県上田市には「太陽と大地の聖地」があった! 熊本県人吉市は風水で設計された都市! 福岡県赤村に大山古墳(仁徳陵)を越える大きさの卑弥呼の墓が!――――。
雑誌『ムー』のネタとして楽しめそうなものばかりですが、文化庁が「日本遺産」として認め、地方公共団体がそれを使って町おこしをするのは流石にどうかと。
税金を使って「偽史(オカルト歴史)」を広めるわけですし、お墨付きを与えて真実となってしまいますから。
「江戸しぐさ」が一定の成功を収めた影響か?
オカルト歴史で思い浮かぶのは、「江戸しぐさ」です。
公共広告機構(AC)のテレビCMで流されたり、公立学校の道徳の教科書に載るなど、一定の成功を収めたオカルト歴史と言えるでしょう。
明治維新時の新政府による「江戸っ子狩り」で、江戸しぐさを口伝で受け継いでいた江戸っ子(江戸講)たちは虐殺されて、かろうじて逃げ延びた江戸っ子が受け継いだのが「江戸しぐさ」というもの。
フィクションのネタとしてはよくある設定ですかね。厨二設定的な?
その設定でありながら、江戸しぐさという礼儀・マナーを広めるにあたっては「江戸商人のリーダーたちが築き上げた、上に立つ者の行動哲学」として自己啓発的に。
設定はともかく、礼儀・マナーを教えるのに「歴史あるマナー」の方が権威と説得力があるから広まりやすかったのでしょうねぇ。
町おこしは藁にもすがりたいもの
話を町おこしに戻すと、町おこしに繋がるのならオカルト歴史でもなんでもいいからすがりたい思いがあるのでしょうね。
ある地域がゆるキャラで人気になると、「わが町にも!」とゆるキャラを作ったり、アニメや映画の聖地となった都市の成功例を見ては、うちの町もできないかと考えたり。
まぁ都会のコンサルタント任せで、二番煎じになりがちなのがそもそもダメなんですけど。
どうせオカルト歴史を使うなら、いっそ振り切って明らかなネタとしてやった方がいいんじゃないのかなぁ。
『ムー』ファンの聖地として人気の場所となるくらいに。