「何のためにFIREするのか」
『FIREの落とし穴』という連載の2回目。
「日々の仕事に縛られずに自由に生きたい」と早期リタイアしたのに、マズローが唱えた「欲求の5段階説」における「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」が満たされないと、また仕事を求めてしまうという話です。
「FIRE」のうち重要なのは「FI(Financial Independence)」の方で、「RE(Retire Early)」の方は完全リタイアでなくてもいい、とよく言われる所以です。
リタイア後に欲求が満たされないなら
マズローが唱えた「欲求の5段階説」のうち、第1段階の「生理的欲求」と第2段階の「安全欲求」はリタイアに関わらず満たされるもの。
いや、生理的欲求のうちの「睡眠欲」や安全欲求に関しては、ブラック企業で働いている方が満たされないか。
一方で第3段階「社会的欲求」のうち、「所属・帰属の欲求」を職場に求めていた人はリタイア後に新しい所属場所を見つけないと不安になりかねません。
第4段階「承認欲求」や第5段階「自己実現欲求」も仕事の成功・職場で認められることで満たしていた人は、新しい承認・実現を得られる場所・手段が必要になります。
定年退職でも同じことだが
これらは早期リタイアに限らず、趣味を持たずに仕事だけで生きてきた人が定年退職した場合でも同じこと。
ただ、FIREの早期リタイアでは定年退職よりもリタイア後の時間がずっと長いし、定年まで働く人のように、仕事で「承認欲求」や「自己実現欲求」を満たされるほどやりきったという人は少ないでしょう。
「FIRE」の「RE(早期リタイア)」にはこだわらず、「承認欲求」や「自己実現欲求」を満たされる仕事を続ける(転職する)のもありですね。
もちろん趣味で「承認欲求」や「自己実現欲求」を満たせるならその方が楽しいと思います。
いずれにせよ「FIRE」自体を強く目的化すると、早期リタイア後に満たされない状態に陥ってしまいかねません。
「承認欲求」や「自己実現欲求」を強く持ちすぎるとうまくいかない時にギャップに苦しむので、これもほどほどにしないといけませんね。