「50〜60代で1000〜2000万円の純貯蓄」の実態
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」では、家計の資産の状況をより詳細に捕捉しているが、2020年度の調査において、60代の金融資産の平均額は2154万円、中央値は1465万円と、概ね家計調査と整合的な結果となっている。
先日、厚労省が公表した「2022年国民生活基礎調査」の結果では、60~69歳の平均貯蓄額は1738万円、70歳以上は1594万円となっていました。
どこからどこまでの貯蓄(金融資産)とするかの質問の仕方や、金融資産がある人のみなのか金融資産ゼロの人まで含めるのかなど、データの取り方によっても変わりますが、400万円以上乖離しているんですね。
ちなみに65歳以上の高齢者世帯の平均貯蓄額は1603万、中央値はデータから推測すると「貯蓄がない」の11.3%を含み積算していくと、500~700万円の上の方に中央値が入ります。
仮に中央値を700万円弱とすると、これも金融広報中央委員会の数字と比べてかなりの乖離になりますね。
高齢者の貯蓄の中央値が700万円弱なら、みなさんのイメージとは合っているでしょうか?
貯蓄1000万円以下の世帯の方が多い
国民生活基礎調査のデータでは、高齢者世帯のうち貯蓄1000万円以下の世帯が50%を超えます。
「貯蓄の有無不詳」が8.0%もあることもあるのでちゃんと答えた世帯だけで見ると50%をゆうに超えています。
これから老後でお金を使っていく60代と、かなり使った後の70代・80代を含めた65歳以上では全く同じには考えられません。
ただ一つ言えることは、「平均以上か以下か」ばかりにこだわるのは辞めておいた方がいい。
調査の仕方によって数字は変わるし、中央値は乖離するものだし。
さらに「平均以下は老後破産が待っている」などと短絡的になるのはもっと危険ですね。
それが真なら日本は老後破産した高齢者だらけになってしまいますから。ゆとりある暮らしができないのは事実だとしてもね。