ひとり歩きする「老後の必要生活費」
老後の生活資金を考える時に、よく出てくるのが、公益財団法人 生命保険文化センターによる金額です。
具体的には、「老後の最低源の日常生活費は22万円、ゆとりのある生活費は36万円」というものです。
この数字は、3年ごとに行なわれる4千人規模の面接調査による結果で、調査の方法の信頼性が高いため、いろいろなところで使われています。
ただ、現在の扱われ方は、少し過剰で、数字が独り歩きしてしまっているように見えます。
生命保険文化センター調査の「老後の必要生活費」の数字については、私がこれまでも書いて来た通り、ひとり歩きしていると思います。
ひとり歩きどころか、FPが「ゆとりある老後生活には1億円必要!」と煽る材料にもされてきました。
最近は「老後資金2000万円必要!」の方にシフトしていますけどね。
この記事は、ひとり歩きしてきた数字について、しっかり解説してくれていると思います。「最低源」となっているのが気になりますが…
「最低限」以下は食うに困るレベルか?
「日常生活費として月々最低いくらぐらい必要か」を聞いた結果の平均を「老後の最低限の日常生活費」と言うのもおかしいし、「最低限」という言葉のニュアンスもかなりギリギリ感があります。
「最低限」を下回ると、生活に困窮するイメージですね。憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」(=生活保護)のせいかもしれません。
高齢夫婦無職世帯の平均消費支出は約24万円なので、そこに遊興費・娯楽費などゆとり分が入ってると考えると、最低限の日常生活費=平均月22万円は当たらずとも遠からずだと思います。
ただ平均は平均であって、困窮しない「最低限」は人それぞれ。幅が広いのであくまで参考程度にするのがいいというのは記事に書かれている通りです。
困窮するレベルはさらに下なので、ひとり歩きした数字を気にしてリスクのある投資をしてしまっては危険ですね。