お金は増やすよりも減らす方が楽しいのです
老後資金をためることに躍起になっている人は多い。経済コラムニストの大江英樹さんは「人生を豊かにするには『お金を増やしたい』という呪縛から逃れることが必要です。お金は増やすよりも減らす方が楽しいのです」という――。
「老後不安は現代日本における最大のナラティブ」に続く大江英樹氏の記事です。
老後不安を感じてお金を貯めるために必死に働き、老後も貯金が減るのを恐れて使えず、たくさんの貯金を抱えて死ぬのは豊かな人生と言えるのか、いや減らす方が楽しいぞ、という流れですね。
私はこの考え方に大賛成です。何しろ、今も貯金を取り崩しながらのセミリタイア生活を送っているくらいですから。
お金を減らすことでできるだけ労働から逃げて楽しく生きる道を選んでいます。
2000万円なんてすぐに使い切ると思われていた
私が10年前にセミリタイア生活に踏み切ってブログを始めた時、「2000万円じゃ持たない」「野垂れ死にするだろう」「将来は生活保護受けそうなんて思うな」などとも言われました。
もっと余裕のある資金で、生活費を使っても貯金(資産)が減らないで生きていけるのが本来のセミリタイアであって、邪道だと思われていたのでしょう。
FIREも4%ルールで資産を減らさない状態を作って早期リタイアするものですし、「セミリタイア生活」のブログでも当時からそういう人たちが主流。
貯金が減ることはありえない、と考える人にとっては、私のような貯金を取り崩すセミリタイア生活は、不安に見えてしかたがないはしょうがないかな。
逆に言うと、お金が減らないという「安心」を重要視しているのであって、貯金を抱えて死ぬのはその「安心」に対するコストではないかと。
高齢者は貯金を取り崩している
一方、家計調査における高齢無職世帯の収支では、貯金からの取り崩し(=赤字)があるため、「老後不安」が作られてきました。
でもこれ、見方を変えれば趣味や娯楽のため貯金を取り崩しているとも取れます。
コロナ禍の家計調査では、旅行や外食に行かなくなった影響か、貯金の取り崩しが減って、なんなら黒字になっていましたから。
ひたすらお金を貯めて増やすことばかりに一生を費やしている高齢者や、そうなりそうな現役世代の人がいるのも事実でしょうけど、データから見ればそうでない人もいる。
家計調査のデータから「老後資金2000万円必要!」と不安を煽るのではなく、「老後は貯金を消費して楽しく生きよう」と推奨するべきだったというわけです。