「老後2000万円問題」はもはや「4000万円」
去年の消費者物価指数(東京都区部)は前年比で3.1%上昇しました。これが仮に3.5%で続いた場合、「老後2000万円問題」が10年後には「老後2800万円問題」、20年後には「老後4000万円問題」になる可能性があると言います。
「インフレが3.5%で20年続いた場合」には「老後4000万円問題」になるという指摘です。
2000万円を3.5%の金利(複利)で20年回せば倍の4000万円になりますからね。
単純にその時は貨幣価値が半分、つまりモノの値段が倍の世界。
同じように給料も増えていれば、今2000万円を貯めるのと同じ労力で4000万円を貯められる計算にはなります。そう単純な話ではないですが。
年金の伸びはインフレ率よりも低い
仮に物価が倍、給料も倍になったとして、その時に年金も倍かというとそれは仕組み上ありえません。
2024年4月から公的年金の支給額の引き上げは2.7%でした。
物価上昇率や賃金上昇率よりも低く抑えられているのは、「マクロ経済スライド」という仕組みによるものです。
これにより、計算上は「老後4000万円問題」の到来はさらに早まることになります。
現実的には「老後3000万円問題」か?
ただ、3.5%のインフレ率が20年続くという仮定が現実的かというと、それは流石になさそう。
日銀は金利を引き上げていくだろうし、円安が続かなければ円安を要因とするインフレも落ち着きます。
仮に2.0%のインフレ率が20年続いた場合は、1.5倍になります。つまり現実的なラインは「老後3000万円問題」かな?
これはベースを「老後2000万円問題」に置いて計算した結果ですが、最新の2023年家計調査では「老後1365万円問題」なので、その1.5倍だと「老後2000万円問題」ですかね。
本当に「老後4000万円問題」へと向かっていくのだとすれば、今の物価高騰で家計調査の赤字額も毎年増えていくはずです。
その数字も含めて見ていく方が先を読めるはずなんですが、いつまでも2017年の古い数字をベースにして騒ぐのはどうかと思います。